よく知られているように、低速度侵徹ではエネルギー保存則が成り立ちます。(例えば、低速度侵徹のエネルギー効率)
Robinsの式ではその成立性は明らかに自明ですが、Ponceletの式では必ずしも自明ではなく、前回の記事では数値計算でお茶を濁していました。
最近遠出していた際に、時間があったので手で式展開したらきれいに導出できたので、ここに記事にしておきます。
侵徹に要するエネルギーは、結局装甲が消費するエネルギーなので、Ponceletの式での、侵徹体の加速度から、侵徹終了時までに消耗するエネルギーEは
a =C+BV^2
F = ma = m(C+BV^2)
E = \int_0^P Fdx
となります。ここで、Pは侵徹深さで、aは抵抗側を正に取っています。
さて、EはFのdxに対する積分ですが、Vはaに対して、
V = V_0 + \int_0^t a dt
なので、tとxの変数変換が必要です。なお、V_0は初速度です。
一見、私には非常に難しいのですが、実は低速度侵徹の侵徹深さの求め方 - Forrestalの式 -にその解き方は書かれていて、侵徹深さを求める定法から、
a = \frac{dV}{dt}=\frac{dx}{dt}\frac{dV}{dx}= V\frac{dV}{dx} = C+BV^2
です。これを適当に積分すれば、
x: 0\rightarrow x
V: V_0 \rightarrow V
ですから、
-x = \int_{V_0}^V \frac{V}{C+BV^2}dV
から、
V^2= \frac{1}{B}\left(\left(C+BV_0^2\right)\exp{\left(-2Bx\right)}-C\right)
となります。この関係をFとEの関係に代入すれば、
E=\int_0^PFdx = m\int_0^Padx =m\int_0^P\left(C+B\times \frac{1}{B}\left(\left(C+BV_0^2\right)\exp{\left(-2Bx\right)}-C\right) \right) dx
となり、P= \frac{1}{2B}\ln{\left(1+\frac{BV^2}{C}\right)}を代入して、具体的に積分すれば、装甲が消費するエネルギーは
E=m\frac{\left(BV_0^2+C\right)\exp{\left(-2BP\right)}}{2B} =\frac{mV_0^2}{2}
となります。すっきりですね。
酒飲みながら書いているので式展開は途中適当なところがあるかもしれませんが、結論は正しいはずです。