前回の記事では、高速度侵徹におけるエネルギー効率を考えました。この例では装甲の抵抗が衝突速度と同じオーダーで増加するので、その極限はエネルギー効率は密度から定まる非0な値となりました。
よく知られているように、高速度侵徹の高速度側では侵徹深さは侵徹体の速度に依存しなくなります。ということで、運動エネルギーに対する侵徹深さの効率は高速度側で0になります。ここで、侵徹効率$\eta_p$をどのように考えるかは議論の余地がありますが、
\[ \eta_p(V_0) = P(V_0)\times R_t(V_0)/KE(V_0) \]
として定義してみます。ここで、$V_0$は衝突速度であり、$R_t$は標的強度項です。つまり、投入された運動エネルギーのうち、どれだけ標的強度項が消耗したエネルギーを占めるかという定義になります。
以下に、Anderson-Walkerモデルを用いて計算した$\eta$、$\eta_p$と$V_0$の関係を示します。ここで、標的は鉄($\rho$:7800g/cm3, Y:1GPa)、侵徹体はWHA($\rho$:17800, Y:1GPa)です。
結論としては見てのとおりですね。